日記
昔、まだ小さかった頃に誕生日プレゼントで10年日記を貰った。
大きくて、黒皮の、明らかに不釣合いなほど高級そうな日記帳で、子供の自分はあまり好きになれなかった。
はじめの1週間くらいは『お情け』で日記を書いてやっていた(なんという不遜だろう)覚えがあるが、続くことは無く、9年355日+閏日は何も書いていない。
黒くて大きな高級品はただそれが存在するだけで「書け」と圧迫されているようで、存在そのものが重圧でもある。
毎日毎日10年も日記を書き続ける自分を想像することは、それだけである種の恐怖のようなものを感じさせた。
今日、そんな空白の10年日記が部屋の片隅から現れた。
1日目の「あまり書きたくない」からスタートして、10日後の「今日カレーうまい」でおわる10年日記。
これからの自分の10年、果てしなく長く見える。
過ぎ去った自分の10年は霞よりも儚く曖昧だ。